“最近の研究では、電子書籍か紙かで差が出るのではなく、文字(フォント)の読みやすさが記憶の定着に影響することが判っています。
少し読みにくい文字や、手書きのように特定の癖があるものなどが、記憶に残るのだそうです。
見出しは太ゴチックで、本文は読みやすい明朝で、などこうしたアクセントで注意を喚起する方法は昔からあることですが、これを立証し、スタヴァンゲル大学のアン・メンゲンとマルセーユ大のジェーン=ラック・ブレイが共同研究として今年の応用知覚学の専門誌に発表しています。
ニコラス・G・カーに言わせると、人間の記憶は短期記憶と長期記憶があり、電子書籍のほうが読書速度が速くなる(これは学術的に立証されている)ために、長期記憶に受け継がれる量が少なくなり、短期記憶のキャッシュで押し出されて記憶されにくくなる(これは検証されていなくニコラスの持論)とのことです。
また、河出書房新社の岡垣常務は、電子書籍は紙の本と違って線を引いてマーキングしたりといった行為(アノテーション)が出来ないため、紙のほうが記憶に定着しやすいと主張していますが、これも学術的には否定されています(アノテーションによる記憶定着の優位性はないことは研究により検証済み)。

つまり、電子書籍と紙で記憶される情報量に差があると主張している記事のソースを調べる限り、ひとつも学術的な検証に基づいたものはありません。
本に慣れ親しんだ人が、そうであればいいと願う思い込みみたいなものだと考えたほうが良いでしょう。
その割に、紙の本のほうが覚えやすいのだというのは、普遍的に見られる言説なので、典型的な「偽科学」のひとつだと言えるのではないでしょうか。”

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